Column / モデル解説 Model v1.4.4 2026.06.28

執筆・監修:梅 陵真(ANCY'S BRIEFING)

model v1.4.4 完全ガイド
夏競馬5戦から抽出した6項目の理論と実装

事後解析 vol.4 で総括した2026年6月の5戦(安田・宝塚・府中牝馬S・函館・ラジオNIKKEI)から、評価エンジンへ統合された6つの新規・強化ルールを、数式レベルではなく「いつ発動し、何を防ぐか」の実装視点で解説いたします。v1.4.2(ダービー)・v1.4.3(函館・ラジオNIKKEI)の継続適用項目も含め、現行 model-updates の読み方ガイドとしてご活用ください。

01 — Overview

v1.4.4 とは何か

v1.4.4は「新アルゴリズムの全面刷新」ではなく、分析(印)と買い目(ポートフォリオ)の整合性を強制するメタ認知レイヤーの追加でございます。春シーズン(v1.4.2)で「能力評価の誤り」を修正し、夏前半(v1.4.3)で「印外・印序列」の穴を塞ぎ、夏後半(v1.4.4)で「展開・バイアス・疲労反動」と「ヘッジ省略」を封じる ── 3段階の自己修復でございます。

#名称バージョン
Shadow-Alpha Hedgev1.4.3
Mark-Rank Coherencev1.4.3
CFI反動拡張(Rebound Fatigue)v1.4.4
Bias-First Overridev1.4.4
前残り逆行シナリオヘッジv1.4.4
ポートフォリオ・システムロックv1.4.4

02 — v1.4.3 Rules

⑬ Shadow-Alpha Hedge ── 見えない能力上位馬を拾う

定義:4ファクター補正後の総合スコアが上位10%に入る馬は、最終印(◎○▲△)に入れなくても、3連複・馬連の2列目(または3列目)に最低1頭は必ず組み込む

事例函館記念では◎2が1着でも、2着10 ケリフレッドアスクは印外。Shadow-Alphaが機能していれば馬連・3連複の相手に10番が入り、280%を大きく上回る回収が期待できました。同様にラジオNIKKEIの2着8番も印外でございました。

v1.4.2との関係:軸固定分散(▲の1着も拾う)は「印の中」に限定されます。Shadow-Alphaは「印の外」への拡張であり、両方が揃って初めて vol.3 型の「印は当たったが0円」を防げます。

⑭ Mark-Rank Coherence ── 印はスコア順と矛盾してはならない

定義:◎○▲△の序列は、4ファクター補正後の総合スコア順と矛盾してはならない。総合1位の馬を◎から外す場合は、数値で合理性を説明し、外す理由がスコア差を上回ると確信できる時のみ許可。

事例:ラジオNIKKEI賞で▲13 サノノグレーターが1着・◎5 リッツパーティーが3着。HAAF(重賞未勝利馬の◎固定)を優先し、総合スコア上位の▲を単穴に留めた序列ミスが全損を招きました。Mark-Rank導入後は、▲が総合1位なら◎昇格または◎▲の軸入替を強制します。

03 — v1.4.4 Rules (A)

⑮ CFI反動拡張 ── 「復帰初戦好走」の次走は危険

従来のCFI(蓄積疲労インデックス解説)は連戦・重賞消化の疲労を検知します。v1.4.4のRebound Fatigue(反動疲労)は逆方向 ── 半年以上の長期休養明け初戦で3着以内に好走した馬の次走に、生体エネルギー枯渇リスクとして重度減点を自動適用します。

事例府中牝馬Sの◎6 ヴァルキリーバースは11ヶ月ぶり復帰初戦を勝利した直後の出走。大衆は「状態上昇」と読みますが、生理学的にはグリコーゲン貯蔵の反動的枯渇期に入り得ます。Rebound Fatigueが機能していれば◎から降格または大幅減点され、14着大敗を回避できた可能性が高いでございます。

⑯ Bias-First Override ── バイアスが能力を上回る局面

定義:コース替わり・降雨・Dコース使用等で「イン前有利」「逃げ有利」等の明白なトラックバイアスが算出された場合、絶対能力(Factor 01)の不足を補う加点を、バイアスに合致する脚質・枠順の馬に強制適用。分析文でバイアスを指摘しながら買い目から逃げ・内枠勢を排除してはならない

事例:府中牝馬SでDコース「内・逃げ有利」を記載しながら、逃げ切り勝ちの7 セキトバイーストを買い目から完全排除。これはBias-First違反の典型例 ── 「言っていること」と「買っていること」の矛盾をアルゴリズムレベルで禁止します。

04 — v1.4.4 Rules (B)

⑰ 前残り逆行シナリオヘッジ

定義:ペース予測がミドル〜やや速めでも、フラットラップ前残りのシナリオを最低10%の確率で独立配分する。逃走馬・2番手先行馬を「◎非軸」の馬連・ワイドに必ず1点含める。

事例安田記念は800m46.1秒・後半46.0秒のフラットペース。1-2着4番・11番はいずれも前残り脚質。本命◎14は同着2着と能力評価は正しかったが、1着固定券種はすべて不的中。前残りヘッジ(例:馬連4-11、ワイド4-14)が1点でもあれば全損を回避できました。

ダービー(vol.3)の「スロー=差し有利」誤読と対になる概念です。スロー・フラットは「前で能力順当」と読むべき局面があり、その場合は差し本命より逃走・好位勢の保険が優先されます。

⑱ ポートフォリオ・システムロック

定義:資金が1,000円等の少額であっても、本命(◎)を軸に含まない展開反転ヘッジを最低1点(全体の10%以上)組み込むことをプログラムレベルで強制。予算制約を理由とした例外処理を一切禁じる。

背景:安田・府中・ラジオNIKKEIの3連続0%は、いずれも「分析は展開リスクを認識していたが、買い目で省略した」ケース。非相関ヘッジの理論理解と運用実態の乖離を、システムロックで解消します。

05 — Implementation

実装チェックリスト(予想公開前)

  1. 総合スコア上位10%の印外馬を2列目に1頭以上入れたか(⑬)
  2. ◎○▲△の序列が総合スコア順と矛盾していないか(⑭)
  3. 長期休養明け初戦好走馬の次走にRebound減点を適用したか(⑮)
  4. トラックバイアスを指摘した馬を買い目から排除していないか(⑯)
  5. ◎非軸の前残り・逃走保険を1点以上持っているか(⑰)
  6. 展開反転ヘッジが全体の10%以上あるか(⑱)

◆ 宝塚447%との関係

v1.4.4は「全レースで高配当を狙う」ためのものではございません。宝塚の447%は v1.4.2(能力評価+階層配分)が理想形で機能した結果。v1.4.4の役割は、函館280%を上振れさせ、安田・府中・ラジオの0%を防ぐこと ── つまり下振れリスクの封じ込めでございます。

References

関連コラム・レポート

外部出典・理論的背景:

  1. William F. Sharpe「Capital Market Expectations: Market Efficiency」(ケリー基準・期待値理論の基礎)
  2. John L. Kelly, Jr.「A New Interpretation of Information Rate」(1956)── 最適賭け比率の原論文
  3. JRA・netkeiba.com「2026年夏競馬5戦」公式結果データ(安田・宝塚・府中牝馬S・函館・ラジオNIKKEI)
  4. 当briefing ケリー基準による資金管理術3層ポートフォリオ設計

※ 本コラムは評価アルゴリズムの解説であり、的中・利益を保証するものではございません。馬券の購入は20歳以上の方ご自身の判断・責任のもと、生活に支障のない余裕資金の範囲でお願いいたします。