Column / 生体力学 Model v1.4 中核概念 2026.05.28

執筆・監修:梅 陵真(ANCY'S BRIEFING)

蓄積疲労インデックスの考え方と限界
出走履歴と調整情報から近走評価を見直す

連続好走や短い出走間隔を見たとき、直近の状態をどこまで信頼できるか。当サイトのCFI(蓄積疲労インデックス)は、出走履歴と公表された調整情報を振り返るための独自指標です。疲労研究の知見と、公開情報から分かる範囲を分けて説明します。

更新: · 出典・集計条件の明記と説明の訂正

01 — Purpose

好走と負荷を別々に記録する

良い着順が続くことは評価材料ですが、状態を直接測った値ではありません。逆に短い間隔で走ったというだけで疲労困憊とも決められません。CFIでは、直近の出走条件、前走からの日数、公開された調整経過を並べ、見落としを減らします。

陣営コメントやパドック所見は観測した情報として記録します。落ち着きのなさや頭の動きを、ホルモン異常の証拠に置き換えることはしません。

02 — Research

過負荷研究が調べたのは管理された訓練

Gollandほか(1999)過負荷訓練とホルモン応答はスタンダードブレッド12頭を対照群と過負荷群に分けた研究で、32週時点の体重、運動継続時間、運動後ホルモン応答などを評価しています。こうした測定を伴う研究から、「2か月に3戦なら副腎機能が崩壊する」という結論は導けません。

回復に必要な時間は運動や測定対象によって違います。筋グリコーゲンの再補充時間と、腱・骨・全身状態の回復期間も同じではありません。前走から何日あるかだけで、どちらも完了したとは言えません。

03 — Workload

TRIMP・ACWRを使うために必要なデータ

TRIMPは運動時間と心拍などの強度を組み合わせた負荷指標、ACWRは短期間の負荷をより長期間の負荷と比べる考え方です。レースだけを集め、日々の調教を除いた比率では、本来の負荷を捉えられません。

2020年の総合馬術馬の負荷・傷害追跡研究は58頭・94競技シーズン・2,300の訓練/競技セッションを対象とし、心拍とGPSから負荷を計算しました。当週と前週の比率で傷害との関連の方向も異なり、単一の数値を全馬共通の危険線として移せる結果ではありません。

旧ACWR区分を置き換えた確認表。傷害率を示すものではありません。
旧来の扱い本記事での扱い
0.8〜1.3を安全域とするJRA競走馬に共通する安全域としては未検証
1.5以上を危険・故障率2〜4倍とする集計条件未確認。個体の故障確率には換算しない
短期間の出走数からACWRを推定全調教負荷がなければ正式なACWRとして扱わない

04 — CFI Model

CFIの式は評価手順の説明

従来の構成式は CFI = α Σ(Lrace × Rdef) + β Aspike です。Lはレース負荷の代理値、Rは間隔の扱い、Aは負荷変化への補正という設計を表します。係数、標準化、欠測時の扱いがそろわなければ再計算できません。

独自モデルの入力案。実測した生体指標とは区別します。
要素利用できる情報限界
過去60日の出走履歴日付・距離・馬場・クラス60日は便宜的な観察窓
調整経過公表された追い切りや陣営の説明非公開の軽運動・休息は欠測
近走の変化ラップ・通過順位・体重疲労以外の原因もある
0〜100のCFI注意点をまとめる独自スコア傷害確率や疲労量の百分率ではない

評価に迷う材料が重なる場合は、F04(直近フォーム)の根拠を再点検します。CFIの高さだけで病態や期待値の低下を確定する運用は避けます。

05 — Validation

失速の一例から精度を証明しない

CFIは事後分析での反省を出発点にした整理です。ただし一頭の凡走後に条件を決め、その馬に当てはまることを示しても、次走予測の精度は分かりません。

検証には、予想前にスコアを固定した全対象馬、対象期間、成績、見送り例を残す必要があります。馬場や能力差の影響を分け、CFIを加えた場合と加えない場合で結果が変わるかを確認することが課題です。

References

参考文献・出典

資料確認日:2026.09.12。公的資料は定義・制度、研究論文は記載した対象集団の知見を確認するために引用しています。独自スコアの予測精度を保証する資料ではありません。

※ 本コラムはクォントモデルの分析手法を解説する目的のレポートでございます。記載の概念・数値は評価手順の説明であり、的中・利益を保証するものではございません。馬券の購入は20歳以上の方ご自身の判断・責任のもと、生活に支障のない余裕資金の範囲でお願いいたします。