ケリー基準(Kelly Criterion)
ケリー基準は勝率とオッズから 最適投資比率 f* を求める公式です。連敗時のドローダウンを抑えるため、本サイトではハーフ・ケリー以下を推奨します。
競馬は1,000円制約と相関リスクがあるため、理論値をそのまま全額投入せず、本線・攻め・保険の3層ポートフォリオで分散します。
計算式と考え方
ケリー基準の最適投資比率は f* = (pb − q) / b = p − (1 − p) / b で求めます。f* が最適投資比率、p が勝率、q が敗北確率(1−p)、b が純オッズ(賭け金1に対する純利益)です。資金成長率 G = p·log(1+bf) + q·log(1−f) を f で微分して0と置くことで導かれます。
たとえば純オッズ b≒0.91 で、独自分析から真の勝率を55%(p=0.55)と推定した場合、f* ≒ 5.5%。資金の5.5%を投じるのが長期成長を最大化する解です。f* がゼロまたは負であれば、式は「一切投じるな」という指示になります。
期待値の最大化とは別物である
重要なのは、ケリー基準が最大化するのは算術平均(単純な期待値)ではなく幾何平均(複利的な成長率)だという点です。期待値のみを最大化する賭け方は、長期的に破産確率を100%へ収束させます。
ケリー比率の2倍(2f*)を超えると期待成長率は急速に悪化し、ちょうど2f*を賭け続けると長期成長率は実質ゼロへ収束します。それ以上では成長係数が1.0を下回り、優位性があっても資産は指数関数的に縮小します。これがオーバーベットの悲劇です。
実務ではフラクショナル・ケリーを使う
ケリー基準の最大の弱点は「真の勝率 p が既知」という前提です。現実の p は推定値にすぎず、過大評価すれば意図せずオーバーベット領域に入ります。対策が、算出した f* に係数 c(0<c<1)を掛けるフラクショナル・ケリーです。
ここにリスクとリターンの非対称性が現れます。ハーフ・ケリーはボラティリティを50%削減しながら、長期成長率の減少は25%にとどまります(75%を維持)。資産半減確率もフルケリーの約50%から約11%へ低下します。
競馬の単勝のように「複数に個別に賭けられるが、実現する結果は1つ」という相互排他的な状況では、各対象に単一ケリーを適用して足すと総額が100%を超えます。簡易な近似は同時ベット数 N で割るポートフォリオ・ルールです。