CFI — 蓄積疲労インデックス
CFIは連戦・激走・調教負荷から 過走リスク を0〜100で定量化する指標です。TRIMP(トレーニング衝動)を基礎とし、高いほどF04(直近フォーム)を下方修正します。
日本ダービー2026ではCFIを理由に単穴へ降格した▲が1着——モデル変数の過大評価として事後解析に記録され、v1.4.5のルール改善に還元されています。
何を検知する指標か
大衆は「直近で好走を続けている馬」を充実期にあると解釈しがちですが、生体データが示す事実は異なります。CFIは過去2ヶ月以内に過酷な重賞・OP戦を複数回消化した馬の突然の失速リスクを検知し、評価係数を強制的に引き下げます。
CFIは出走間隔の単純計算ではありません。内分泌系、エネルギー代謝、バイオメカニクス、負荷の数理モデルという4つの観点から蓄積疲労を評価します。「中3週だから疲労は抜けている」という陣営コメントは、サラブレッドの病態生理を踏まえない希望的観測であることが少なくありません。
オーバーリーチングとOTSの区別
当モデルは一時的な適応不全であるオーバーリーチングと、慢性病態であるオーバートレーニング症候群(OTS)を厳密に分けます。前者は数日〜2週間の休息で回復しますが、後者は11日〜3週間の休養を与えてもパフォーマンスが一切改善せず、完全回復に数週間〜数ヶ月を要します。
生体のストレス反応は視床下部-下垂体-副腎皮質(HPA)軸と交感神経-副腎髄質(SAM)軸で制御されます。回復を無視した高強度負荷が続くと血漿コルチゾールの反応が鈍麻し、HPA軸の機能異常が生じます。血統(F01)がいかに優れていても、能力を発揮する生化学的トリガーが引かれない状態です。
血液マーカー以上に重要なのが行動の変化です。神経過敏、馬具を噛む、頭を振る、反抗的態度といった兆候は内分泌系異常から派生するシグナルであり、単なる「気性難」と誤認されがちです。CFIはパドック情報や調教助手のコメントからこれらを抽出します。
回復の生理学 — 人間の常識が通用しない
激しいレースで骨格筋中のグリコーゲンは推進力を担う中臀筋などで約30%が急速に消費されますが、その回復時間は人間と比べて絶望的に長い。中1週〜中2週の詰まった出走では、前走の枯渇が細胞レベルで清算されていない状態をペナルティとして減算します。
人間のマラソン選手が用いるカーボローディングは、競走馬には機能しないどころか逆効果です。高デンプン食は血中インスリン濃度を急上昇させ、そのピークが脂肪酸化を強力に阻害します。馬は温存すべき筋グリコーゲンを運動初期から消費せざるを得なくなり、終盤の無酸素運動容量が枯渇します。
疲労が進むと馬はストライド頻度を維持できなくなり、接地時間を長くとることで失われた推進力を代償しようとします。関節可動域が異常に増大して運動器系への負荷が局所集中し、直線での瞬発力を物理的に発揮できません。