期待値(Expected Value / EV)
期待値は モデル勝率 × オッズ で算出する理論的価値です。1.0を超えれば長期的にプラス寄与、未満なら見送り(Fold)の目安となります。
アンシーは4ファクター(F01〜F04)で勝率を推定し、市場オッズとの乖離からバリューを判定します。過剰人気馬はEVが低く、割安に放置された馬に歪みが残りやすい構造を前提としています。
なぜ1.0が損益分岐点になるのか
馬券はパリミュチュエル方式です。券種ごとの総売上から控除率を差し引いた残りを的中者で分配するため、オッズは「その馬が強いか」ではなく「大衆がいくら投じたか」を映します。無作為に買い続ければ回収率は控除率の水準(単勝でおよそ80%)へ収束します。したがって狙うべきは勝つ馬ではなく、市場の支持率が推定勝率を下回っている馬です。
期待値1.0は「賭け金がそのまま返る」点を意味します。1.0を超えれば長期的にプラス寄与、下回れば買うほど損失が累積します。EVがマイナスのとき、モデルは「買うな(Fold)」という客観的指示を出します。
歪みはどこに生まれるか
オッズの歪みを生む代表例が本命・大穴バイアス(Favorite-Longshot Bias)です。プロスペクト理論の確率加重関数が示すとおり、人間は微小な確率を過大評価し、中〜高確率を過小評価します。その結果、当たれば大きい大穴が本来の勝率以上に買われ、期待値が削られます。3連単のようにオッズが高騰しやすい券種ほど、この増幅が起きます。
見落とされがちなのは反対側です。当サイトの集計では、単勝で最も回収率が低い(=最も過大評価されている)のは18番人気の大穴ではなく、単勝1.5〜2.0倍の1番人気(回収率およそ76.2%)でした。1.4倍以下の圧倒的大本命は勝率50%強で信頼を保ちますが、1.5〜2.0倍は能力差が決定的でないまま資金だけが集まる帯です。
限界と注意点
期待値は推定勝率が正しいという前提の上に立ちます。勝率の推定を誤れば、EVの数字はそのまま誤ります。当サイトは4ファクター(F01〜F04)で勝率を推定していますが、これも推定値であり真の確率ではありません。EVは「買う理由の説明」ではなく「買わない理由の検出器」として使うほうが、実務上の誤りが少なくなります。